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2016/01/06

学級担任論では、忘れ物指導について

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学級担任論では、忘れ物指導について。

この忘れ物指導は、実は教師の指導観を見るのにとてもポイントになるトピックだと考えている。

「忘れ物をするな!」

という指導。実はこれは短期的には忘れ物は減る。恐怖による支配だ。怖いから怒られるから忘れ物をしないようにしようというものである。しかし、怖くない先生になったらだめになる。

人間は忘れる存在であり、命令では動かない存在であろう。

だから、長期的には厳しい指導となる。

家本芳郎先生によれば、授業数が少ない授業の持ち物、保護者関係のもの、宿題。これが三大忘れ物であるという。つまり、関心が低くて、いやいややるものに忘れ物が多いということだ。

もしそうだとすれば、忘れ物をなくのは論理的には簡単なはずだ。関心を高めて、喜んでやるようにする指導があれば減るということになる。好きな先生の授業、好きな教科の授業にであれば、忘れ物は減るのだ。

つまり、人は忘れるものであるから忘れ物はするが、忘れにくくするには教師の側の工夫で改善される部分が多いということになろう。それが分かれば

「忘れ物をするな!」

と簡単に言えなくなる。だから、教師の指導観を見るのにいいポイントだと言うのだ。

そもそも子どもたちは分が悪い。

大人は、言ってしまえば手ぶらで職場に行き帰りができる。しかし、子どもたちは学習道具、用具を持ち帰りしなければならない。忘れ物が発生しやすい環境なのだ。

そうだとすれば、どうしたら忘れ物を減らすことが学校として出来るのだろうかということを考えさせた。

例えばノート。教科毎にわけているが、一冊に纏めて書いたら、忘れ物の発生の確率は1/9になる。9教科が一冊で済むのだから。教科毎にわけるというのは、あれは先生のノートチェックの為に必要なことで、子どもたちがわける必要があるのかは、本当のところ疑わしいと思っている。分母を減らせば、忘れ物は減る。他にはないかを考えさせる。

子どもたちの荷物が減れば、登下校時に動きやすくなる。安全な登下校にも寄与するはずだ。小学校低学年の荷物が歩いているのだか、子どもが歩いているのだか分からないのは、見た目には可愛く思えることもあるが、安全性を考えればかなり危険だ。そういう観点からも忘れ物指導は見ることが出来る。

学級担任の仕事は問題解決学習だ。

そのケーススタディをいくつかすることで、学生が現場に出た時に発生する問題も、課題として捉えて子どもたちと一緒に解決することが出来るような指導観を手に入れさせたいと考えてやっている。

宿題忘れ。

これだって、考え方によっては教員が悪いとも言える。

宿題には大きく三つの種類があると考えている。

一つ目。そもそも宿題とは、句会の時に、「次回までにこの季語で俳句を作って来て下さい」というのが宿題なのである。つまり、その季語で俳句を作ってこないと、句会に参加できないということなのだ。

その宿題をやってこないと、授業に参加できない。または、参加しても意味が無い、楽しくないってこと。一種の反転授業のことだ。だから、宿題は忘れないのだ。

二つ目。教わったこと、学んだことを定着させる為の宿題。漢字を覚える為に書くとか、計算の仕方を身につける為のドリルとかである。

私が宿題として許せるのはここまで。でも、もう一つある。

三つ目。残ったらからやっておけという宿題。「じゃあ、計算問題終わらなかった人は、あとは宿題ね」という奴だ。これは、その時間内に子どもが終わらせることができなかったのは、1)時間に対して問題数が多すぎた、2)その子どもの能力に対して問題数が多すぎたのどちらかであろう。となると、これは教師の指示ミスである可能性が高い。

そもそも、終わらなかった人は、出来なかった人である。尚かつ、問題は後半の方が難しいことが多い。それを「終わらなかったら後はやっておいてね」と投げ出すような宿題の出し方は、違うだろうと思うのだ。そういう子どもこそ残して先生が面倒を見ないとダメなはずである。

で、この三つ目の宿題が出されたとき、子どもたちは「忘れました」と答える。これは、1)できなかった、2)わからなった、3)プリントを無くしたなどのときに言う。出来ない、分からない、無くしたとは言えないので、「忘れました」となる。

「忘れ物をするな!」

「自分だけでなく回りにも迷惑がかかるだろ!」

「今度忘れたら親に連絡するぞ」

忘れ物が悪いことは、本人も分かっている。さらに忘れ物をしたくてしているわけではない。そうならば、忘れ物を減らすにはどうしたらいいのか、また、忘れ物をしてしまったらどうしたらいいのかを考えさせ、あれこれ改善の努力をさせるべきなのだ。

また、教師は自分の指導力を向上させることで、学習環境を改善することで子どもたちの忘れ物を減らすことができないかと工夫を重ねるべきなのだ。

そういうことを重ねて行くとき、子どもの忘れ物は少し減る。

しかし、この少し減った部分は、恐怖で減らしたものとは違う。

価値のある、意味のある減り方なのだと私は考えている。

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