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2016/11/12

京都橘高校での甲骨文字の再現授業  〜拓まで取りました〜

Img_6232

一晩経っても、まだ興奮している。
甲骨文字を再現する授業の実施だ。

世界初の授業だと思う。

現代のスマートフォンで簡単に文字が作れる環境の中にいる生徒が、3400年前に人類がやっていたものすごい苦労をして文字を残すという営みを、体験させることができた。

文字に関しての認識が何か変われば嬉しい。
古代の王は、自分の営みを文字にして残させた。
しかし、今は、ユネスコの学習権宣言にあるように、「自分自身の世界を読みとり、歴史をつづる権利」としてある。
http://kohoken.chobi.net/cgi-bin/folio.cgi?index=lb2&query=/lib2/19850329.txt

文字、漢字、作文という指導をする上でイッチバン最初の部分を生徒たちに体験させることができた。

今回は、京都橘高校で行った。
私の教え子が京都橘高校で芸術科の書道の教師をしている。

その卒業生とたまたま今年の3月に甲骨文字の再現実験の時に、キャンパスで会って、
『一緒にやるか?』
と巻き込んだことから、ここまで繋がった。

なんというか、わらしべ長者のような感覚。亀を手に入れることができたことから、ここまできた。

亀に刻す。一升瓶に刻す。コップに刻す。ガラスに刻す。私がこういうことをしていたら、私が刻した甲羅は、有鄰館に収蔵展示されたし、一升瓶は大学祭の書道展で展示してもらったし、結婚祝いにあげることもできたし、コップに刻したのは研究室に遊びに来た卒業生にあげることもできた。ガラスの作品も作り続けている。

まあ、昔からそうなんだけどね。
リコーダーやフルートにハマった時も、とにかく吹き続けた。
リコーダーで、オペレッタ「こうもり」のアデーレのアリア
https://www.youtube.com/watch?v=2j6pAnivUho
や、ソプラニーノでウイリアムテル序曲
https://www.youtube.com/watch?v=e1l59fXt8fQ
を吹けるまで練習したりしていた。

そうそう、ケンブリッジバスカーズに憧れてやっていたんだよなあ。
https://www.youtube.com/watch?v=1jEsK-uy64o

ま、それが突然、興味が消えてやらなくなるのも私。
だから、今、この私が亀に刻すから始まった一連の流れが、どこまで行くのかは私自身もとても興味がある。

多分、文字に興味があったのは、もう小学校に入る前からのことだと思う。
そして、小学校一年生の時に、近所のお習字教室に通ったことからずっと文字と関わって来たのだと思う。それが、今、こうして文字に関わる仕事に就き、漢字の最古の甲骨文字の再現をし、それを授業にした。

で、何より嬉しいのは、授業をしたのが私ではないということ。
私の教え子が、高校生にこの授業をしたということ。
私が思いついたことを、私が授業にするのは今までもよくあった。
というか、それが全てであった。

今回は、昨日の授業を含め、合計三箇所でこの授業をやる。
(あ、昨日の授業を見た付属中学校で教えている先生も、「私もやりたい!」と言ったので合計四箇所になるか)

私は思いついたアイディアを、授業というアウトプットにすることをし続けて来たが、こうして、私ではないところからアウトプットされるということに、非常に喜びを得た。

しかも、私が想定していた以上のことをやってくれた。
刻しただけでなく、それを拓に取るというのだ。
これが実に良かった。

授業の最中に、綺麗に拓を取ることのできた高校生にもうベタ誉めした。
『いやあ、これは京都の古美術商に売りにいったらいいよ。または、フリーマーケットで販売してもいいなあ』
と。
「いやー、先生、もう誉めすぎや(^^)」
と言うけど、とても嬉しそう。
いやあ、嬉しいのは私も同じ。

正直に言えば今回の授業は、授業の構成、展開、発展課題などにおいてまだまだ改良する余地はある。しかし、四月から教師になったばかりのことを考えれば、十分に合格点を与えることのできる授業だったと言える。

そう、この授業は研究授業としても行われたので、私はそのあとの研究協議会の講師としても参加。改善のポイントを10箇所指摘。

また、私が事前に用意した「文字の意識に関するアンケート」も実施してもらった。ざっと見た感じでは、大方予想通り。予備調査として行った部分もあるので、これを微調整して、中学校で本格実施。

中学校は、結果的に、中学校の1、2、3年の全てで実施できる」ことになったので、実に楽しみ。

それぞれの授業の指導案、実践記録、アンケートの集計を元に冊子にまとめるか、論文にするかなどをしていきましょう。

まだまだ、亀との出会いから始まったこの授業づくりは、新しい展開も含めて、続いていきそうだ。楽しみ楽しみ。

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コメント

甲骨文をよく調べてから複製をお願いします。文の目的は陰陽占いですから真ん中に文章が来ることは考えにくいですね。

hp見た人さん、池田です。

>>文の目的は陰陽占いですから真ん中に文章が来ることは考えにくいですね。

とのことですが、通常、判断を求めるための言葉は、腹甲の外側に刻します。肯定文を右側に否定文を左側に刻します。

そのあと、腹甲の内側に占いのために燃える木を押し付け、ヒビを入れて占います。占いの結果はこのように腹甲の裏側の中心に刻します。

ここに刻した文字の最初の三文字は「王占日」とあり、「王様が占って言ったことには」とあることからもわかります。

私は、以下の書籍にある甲骨文字の拓と、そこで佐野先生が示された骨書を元に再現の指導をしています。hp見た人さんは、どこでそのように調べたのでしょうか? 教えていただければ幸いです。

https://www.amazon.co.jp/甲骨文-中国古代の書-佐野-光一/dp/4887151063

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