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2019/05/25

昨日で、筆を持ってから50年の年月が経った

Hana

 

昨日で、筆を持ってから50年の年月が経った。半世紀筆を持って文字を書き続けていることになる。誰も祝ってくれないが、勝手にすごいと思って何か祝おうと思う(^^)。一応、その一環として「手書き万年筆学年別配当漢字」

https://itunes.apple.com/us/book//id1455467422?mt=11

をまとめることもできたし、

「紺紙金泥 教育漢字」も仕上げることはできた。良かった良かった。

 

なんでこんなにはっきりと覚えているかというと、小学校一年生の時に習い始めたお習字だが、最初のお月謝袋が出てきたのでわかったのだ。私は計算は苦手だが、数字は画像記憶でバシリと頭の中に残る。フォトリーディングだ。だから、残っているのだ。

 

 

子供の頃住んでいた団地。そこから歩いて3分もすればお習字教室であった。字が苦手な母親に強制的に行かされたとも言える。ご夫婦でされていた佐藤先生に私は、ここで高校卒業までお世話になることになる

 

週に一回。1時間弱。

小学校高学年になると、お習字なんて女のやることだという思いが出てきて、なかなか通いにくかった。すると佐藤先生は、女の子がいない時間に電話をくれたり、大人の人がやる時間に呼んでくれたりして、なんとか繋いでくれた。これが今になって思うと、実にありがたかった。

 

高校では、書道部の助っ人として作品展に作品を出したりもしていた。

まあ、少し天狗になっていた。

 

 

ところが、大学で中学校の国語の免許を取るために、書写指導法を学び、高校の書道の免許を取ろうとして専門の書道の授業を受けたりすることで、私は、自分が全く書けていないことに気がつかされたのであった。

 

だから、大学の2年生、3年生の時は失意に打ちのめされながらも、猛烈に書いた。

昭和天皇の祐筆であった木村東洋先生、中島司有先生に指導を受け、新進気鋭の佐野光一先生にも手厚いご指導を受けた。

 

課題の作品を持っていくと、木村先生には

「これはなんですか?」

と真顔で聞かれた。点の位置と角度がやや違う程度だったと思うが、それは全く違うと否定された。

 

課題を出せないで泣いている学生に、中島先生は

「親が死んだことと、一年前に出した課題ができていないことは関係ない」

と叱りつける姿を見せつけられた。

 

「まあ、この生徒には次はこれかな?」

私が指導した中学生の作品を持って、私の指導のあり方をご指導いただこうと佐野先生のところに春休みに出かけると、その先、その先へと導いてくださった。

 

だから、冗談抜きで、鼻血が出るぐらい熱中して、集中して筆で字を書き続けた。

 

 

大学を卒業する時、先生になるなら高校の芸術の書道の先生もいいかなあと思っていた時期もある。だが、中学校の教員となり、書写の時間に今まで多くの先生にご指導いただいたこと、自分で学んだことを全部出して教えていた。

 

中学校一年生の一学期は、「蘇孝慈墓誌銘」を双鉤塡墨(そうこうてんぼく)や摸書をさせて、粘葉本にまとめさせた。二学期は、「和漢朗詠集」を摸書させて、和綴じ本にした。冬休みは書道字典から集字させてお手本を作らせて、年賀状を書かせた。さらに三学期は「蘭亭序」を摸書、臨書させて、仮巻きでまとめた。

 

書道をやった人なら、この課題を普通の中学校一年生にやらせるのは無謀だと思うだろう。ものすごい高度なことをやっていると思うだろう。私もそう思う。しかし、私は逆に考えた。まだ、きちんとした時の練習をしていない中学生だからこそ、本物をしっかりと与える。私の字を、教科書の字をお手本にするのではなく、本物の古典を与える。なんとなれば、私も教科書も書いた人も、必ず書いて練習してきた古典なのだから、それを学ばせたほうがいいという判断である。

 

その結果、子供達は本当に上手くなった。

 

 

大学に移って、書道コースのある大学に移れたことを幸せに思っている。

文字を書くことに懸命になっている若い学生たちと、書道談義をするのは実に楽しい。

 

また、ガラス書道、抹茶書道、甲骨文字の再現、紺紙金泥などいろいろな書道を楽しめている。

そんなことをしていたら、50年も経ってしまった。

 

 

50歳までは私の中にいる芸術家は封印してきた。

歌を歌ったり、料理をしたり、好きな言葉を書き写したりはしてきたが、芸術というよりは、趣味としてやってきた。だが、ここを境にその封印を解こうと思った。

 

(もう、好きなように書いてもいいでしょ)

と思うようになった。自分が書きたい文字を書きたいように書く。

まだ、誰も書いたことのない線で、筆使いで、好きな文字を言葉を書く。

そうしているうちに、野口先生のご著書から手書きで書きぬいたものを集めた、手書き文字練習本も出すことができた。なんと嬉しいことよ。

野口芳宏の教育名言で学ぶ手書き文字」

https://itunes.apple.com/jp/book/野口芳宏の教育名言で学ぶ手書き文字/id1381200885?mt=11

 

 

書道は、70歳で「期待の新人現れる」の世界だという。まだまだ、はなたれ小僧である。しかし、静かにできる。一人でできる。畳一畳の広さでできる。限りなく広く深い世界がある書道に50年前に出会えて良かったなあと、思う。

 

親に、先生に、感謝だ。

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