2017/05/14

酔睡亭開店へ その7

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新入生キャンプを終えて、前日を迎えた。
昨日まで東京に戻っていた奥さんと娘が帰って来た。
お土産は、暖簾である。

暖簾は、どうしても作りたかった。
発注すると結構な値段がする。
だったら自分で作れば良いと思ったのだ。
下見に行った時に、177cmが入り口の幅だとわかった。
それに合わせて生地を用意すれば良いということがわかった。

ユザワヤに出かけて行って、生地を買い込んだ。
これまでに、同じように生地を買って来て風呂敷も作っていた。

で、同じように加工をして、その加工したものを暖簾に作れば良いと思っていた。文字を書くところまでは、割と前にやっていた。

が、布がほつれないように処理するのは結構面倒臭い。
『ミシン出してくれないかなあ。処理するんだけど』
と言ったら、東京に戻っている間にやってくれるという。
す、すまん。そして、ありがとう、だ。

そこで、文字を書くところまでやった布を渡しておいたのだが、それが完成して帰って来た。
素晴らしい。
お母さんと、義母さんで作ってくれたとのこと。
二人で、呆れながら作っている姿が目に浮かんだ(^^)。
「全く何やってるんだかねえ(^^)」
という声まで聞こえた。

しかし、素晴らしいのができた。
想像している路線で、それ以上にいいのができた。
嬉しいなあ。
ありがたいなあ。

本当は、コックコートも新調しようと思っていた。店の名前「酔睡亭」を胸に刺繍して、とは思っていたのだが、時間があっという間に過ぎてしまい、刺繍の仕上がりが間に合わなくなってしまった。同じくドリンクでも、ぜひにと思って注文しようと思っていたイタリアンワインが間に合わなくなってしまった。

まあ、100%は無理。それは次回のお楽しみということで、先に進むのが賢明と判断した。

店は、お昼ぐらいから下準備をするためにも空けてくれている。食材も集まっているので、下拵えをしようと思っていたら、Y君が
「先生、やっておきますよ」
と言ってくれた。
彼の出す料理は、当日に火を入れるものはない。
事前に時間をかけて作っておいたアンチョビやサーロなので事前準備はほとんどない。そこで、やってくれるというのだ。
ちょっと考えたのだが、下拵えを頼んでみた。

これで、溜まっていた大学の仕事を片付けることができる。ありがたい。午前中からお昼にかけて一気に進める。

夕方からは、京都市内へ。
前日から京都入りしている後輩のご主人さんと、北野をどりに行くことになっていたのだ。上七軒まで出かけていく。なんでもこの日は第65回の北野をどりの千秋楽だとか。すごい。

京都に来てもう12年目になるが、実はなかなかこういうところに来ることはない。東京に住んでいる人が、東京タワー、六本木ヒルズ、スカイツリーに行かないのと同じだ。場所は知っているし、ビアガーデンもいいんだろうなあというのも知っているが、なかなか行かない。だが、お誘いを受けたので、これはチャンスと思い、前夜祭を兼ねて出かけて行った。

第一部 劇。第二部 踊り。第三部 フィナーレ。
とまあ書くと簡単だが、二時間ぐらいのステージは、それは面白くて美しかった。

びっくりしたのは、第一部の劇。時々、吉本の新喜劇ではないかと思うような、くっだらないギャグが入る。あの絢爛豪華な出で立ちで、吉本の新喜劇をやる。もう爆笑。第二部は、踊りのいい場面を次から次へと見せてくれる。

そして、第三部。これは、まさに絢爛豪華の一言。
総勢28人の舞妓さんに芸妓さんが舞う。歌とお三味線と太鼓の音に合わせて、艶やかに舞う。
(春の波とは、このことかもしれないなあ)
と思ってしまった。艶やかに、嫋やかに、華やかに、ああ、はんなりとかもしれない。
そんな春の波を客席で浴びることができた。

あれは、機会があったら観るべきだなあと思う。

その後、一度店に顔を出して、明日はよろしくお願いいたしますと挨拶を済ませ、うなぎ懐石の夕ご飯をいただき、アルコールで喉を潤し、気合を入れての帰宅でした。

さ、いよいよ、明日、開店だ。

つづく

酔睡亭開店へ その6

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メニューは決まった。次は、食材の調達だ。食材と調味料はお願いすれば、お店の方で注文してくれる。ドリンクも特に選ばないのであれば、注文してくれる。これはとてもありがたい。今回は、ドリンクは自分で、あとはお願いした。

いつも家で作っているときは、スーパーで値引きしてあるものを買ってきて、冷蔵庫に残っているものを加えて作る。特に量を考えて買ってくることはない。魚は一匹だし、肉は一枚ってな感じ。だけれどもこれでは発注できない。大体の一人前の分量を想定して、それを40人分にしていく。食材と材料と両方とも。

出来上がったものを、お店のスタッフのところに送る。
ところが、
「イカのサイズは一杯で、何グラムですか?」
「魚のサイズは何センチですか?」
のように確認される。
そんなこと、考えたこともない。半額だから買うのであって、その大きさで買うなんてことはしていない。
だけど、それじゃあ注文にならないので、聞かれた単位で考えて答える。でもなんだか、プロっぽくて面白い(^^)。

ドリンクの方は、これは私のゼミ生のY君に頼んでしまった。
『これを、ここで買って』
とネットのアドレスを教えて買わせて、店の方に届くようにしてもらっておいた。また、Y君が作るカクテルに関しては、一緒にやったO君が勤めている居酒屋で買うと安く買えるというので、それで買ったりもしていた。

まあ、学生たちは、あれこれ考えてやるものだよ。
意欲があるのなら、明確なゴール地点を示しておけば、大概は大丈夫。
実際、大きな問題は何もなかった。

4/1(土) 入学式
4/3(月) 新入生ガイダンス、会議会議会議

新年度は動き始めた。そして、本番の4/8(土)も近づいてきた。
まだやらなければならないことがある。
最大のものは、予行演習だ。
実際に厨房に入って、作って見る必要がある。

今回料理するものは、家で、それこそ何回も作っているものばかり。
新作はない。
だから、大丈夫といえば大丈夫なのだが、最大の問題は火力が違うということだ。
家で、一人前を作る時の弱火と、プロ用のコンロで5人前をいっぺんに作る時の火力は全く違う。だから、火力の体験をしておきたいと思ったのだ。

これが行えたのが、4/4(火)であった。
午後三時からお店の方に伺って行った。
店の方は、4/27のグランドオープンに向けて、内装の最後の調整や食器の搬入などが行われていた。
プロ仕様の調理場での料理ってのは、そうですねえ、ずーっと前に喫茶店でアルバイトをしていた時に、したぐらいですねえ。記憶にない。一緒にやるY君はサイゼリアでアルバイトをしているので経験があるかなと思うのですが、実はサイゼリアには包丁はないのです。だから、二人とも初心者と言って良い。身震い、武者震いです。

お店のスタッフに確認。
『あの、包丁びらきというか、厨房の神様に「これから使いますよ」というような儀式はしなくて良いのでしょうか?』
と聞く。
「あ〜、良いです。あまり気にしません」
ということ。
まあ、そうなのだが、とりあえずお酒をかけたりしたほうがいいんじゃないかなあと思って、持ってきたお酒を厨房に撒いて、
『事故なく、美味しい料理ができますように、よろしくお願いいたします』
と簡単に神事を行った。
多分、こういうのは気持ちの問題なのだと思うが、やらないよりはやったほうがいいなというのが、私の考え。

それから、当日に振る舞う料理を3品作った。
鯛のグリル、牡蠣のアヒージョ、スパゲティ。
いやあ、なんというか、魚焼きグリルの遠赤外線のすごさに、牡蠣のアヒージョをするコンロの五徳の重さ、スパゲティを茹でる時のコンロの火力の凄さに興奮。特に魚焼きグリルは、強火の遠火ができるのがいい。また、当日はコンベックも使えるとのこと。嬉しいねえ。

出来上がった試作品を持って、店の前や二階のテラスで写真を撮る。いやあ、嬉しい。また、開店の準備をしていたスタッフや、女将、若女将にも試食してもらい、OKを貰った。
「先生、美味しいです!」
お世辞であっても嬉しい(^^)。

食材の最終打ち合わせを終えて、店の外を二階の窓から眺めると、いい感じに暮れていく。
「先生、この桜(こ)、目の前の桜が、当日は満開ですね」
と言われる。
祇園、白川にはたくさんの桜が植えられているが、今年は桜が遅れたお陰で花見の当日に楽しむことができる。そして、店の、二階の窓から見える桜がその中でもさらに遅れているので、当日満開になるだろうと思われた。

持参したビールを飲みながら、
(幸せってのは、このことだなあ)
(急激な体調の変化のないように、慎重にこの後の三日間を過ごさねばなあ)
と思う私でした。

そうなんです。
明日明後日は、児童教育学科の一泊二日の新入生キャンプなんです。
怪我しないように、筋肉痛が酷くならないようにせねばとビールを飲みながら誓う私でした。

づづく

酔睡亭開店へ その5

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メニューをどうするかであった。

せっかくなら、作りたい=食べたいになるようにしたい。
そこで、メニュー案を作って事前にどれが食べたいかを確認して見た。

で、iBooks authorでメニュー本を作って、事前に学生たちにアンケートをとった。
そうして、作る料理を決めて行った。
また、この写真をサポートスタッフに見せて、イメージを作ってもらった。

作る側も、宴会する側も楽しくなるようにしたいと思ったのだ。

で、宴会を支えるスタッフのこと。

祇園で花見が決まった時、三回生に連絡した。新四回生になる三回生にだ。
なぜかといえば、私のゼミには宴会係がいるからだ。
イベントというか、行事を企画して運営するというのは、学校教育現場に入った時に行事をつくるためにも重要なことだと考えている。特別活動だ。だから、宴会係の承認を得ないとまずいと思ったのだ。

今回の"祇園 酔睡亭"は、母体は私の3、4回生ゼミの花見である。
この花見というのは、私のゼミのスタートなのだ。
どういうスタートかといえば、新4回生が、新三回生をご招待するという趣向なのである。
「ようこそ、池田ゼミへ」
「がっかりしたかもしれないけど、まあ、頑張って、池田ゼミでね」
このどちらかはわからないが、とにかく池田ゼミに来ることになった新三回生を、新四回生がご接待するのが、この花見なのだ。

専門ゼミに来ることになって、不安になっている新三回生を温かく受け入れて、一緒にやっていこうねということを示すのが、この花見なのだ。厳しくやるのは私の担当なので、温かくは先輩に任せている。

私は年齢が一つ、二つ上というだけで偉そうにする「先輩」が大嫌いだった。それは生徒の時代も、学生の時代も、教師になってもである。先輩は、力があるから先輩。その力を後輩のために使える時、本当の先輩になると考えている。だから、私の学生には本当の先輩になってほしいと思っている。

そう、昔見たテレビ番組に、京都大学アメリカンフットボール部を取材したものがあった。
ここでは、4回生がグランド整備や洗濯をする。
なぜか?
1回生にやらせると、倒れてしまうからなのだ。

受験勉強で体を動かしていなかった、一回生。
授業の後の練習でギリギリになる。そこにグランド整備や選択では倒れるのだ。
だから、体力的に余裕のある先輩がやる。
私は、この考え方がいいと思っている。だから、ゼミではこれを目指している。

去年の四回生が、今年の四回生に対して花見ですごくウエルカムであった。その記憶がとてもあって、今年の四回生も三回生にとにかくウエルカムでありたいと思ってくれているようなので、いいなあと思いながら準備を進めていた。当日私は、厨房にこもる。だから、花見の席で何があるのかはよく分からないことになる。

もう、お任せ。
それができるのが嬉しいと思うのだ。

しかし、今年の春休みは実に動き回ったのでありました。
それもこの花見があると思えばこそだったことがあるかもしれない。

何があったのか。
二月の途中から、大学の会議を除いて、項目だけ書き抜いてみれば、

・東京に行き、編集会議を行う。
・東京に行き、甲斐崎さんの小学校で授業をさせてもらう。
・滋賀県の教育委員会で打ち合わせ。
・播州赤穂に家族でお出かけ。
・ことわざを写真にする授業を見届けるために小学校へ。
・第五回教育と笑いの会のために小樽へ。
・滋賀県の小学校で研究のための授業を実施を二回。
・入試。
・卒業式予行。
・卒業式。
・明日の教室。
・東京に行き、編集会。
・台湾に二泊三日。
・ゼミ合宿、一泊二日。卒論目次案検討。
・学会発表。
・学会ワークショップ実施。
・出版打ち合わせ。
・春休み家族旅行。

よく動いたものだ(^^)。
春休み家族旅行から新年度が始まる。
そして、その翌週の土曜日「祇園 酔睡亭」が本番。

道楽がエネルギーになって、仕事を乗り越えていたんだなあと、つくづくわかります(^^)。

続く。

2017/05/04

酔睡亭開店へ その4

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この話が動き出した後の3回生ゼミで、事情を話した。
すると、もう、学生たちも大興奮。
そりゃあ、そうだ(^^)。

そこでちょっと考えていたことをある学生を呼んで話した。
それは、趣味が料理という男子学生。
『せっかくなので一緒にやるか?』
と聞いてみた。
すると、
「ぜひ!」
とのこと。よし。

また、こういうイベントを企画することを仕事にしたいと考えていたこともあった女子学生にも連絡。
すると、
「企画などやりたい」
とのこと。よし。

さらにまた、カメラマンになるか教師になるか悩んでいる学生にも声をかけた。
『参加費いらないから当日の写真を撮ってくれないかなあ?』
と。これも
「やらせて欲しい」
とのこと。よし。

よし。
こういうのはみんなで楽しんでしまうのがいい。
そして、ゼミの宴会係が全体を見渡しながら進めることで動き出す体制が取れた。

その数日後、このお店の社長さんに会い、また、改装をしている現場に出向いて、スタッフにご挨拶などをして本格的に、" 料理と酒の店 祇園 酔睡亭 ”が動き出したのでありました。

この文章を書きながら思い出したのだが、実は、自分の料理を振る舞うというのは、やっていないこともなかった。

例えば、学年旅行で
http://ikedaosamu.cocolog-nifty.com/…/2016/12/post-c72f.html
例えば、花火大会で
http://ikedaosamu.cocolog-nifty.com/…/2009/08/2009-50db.html
例えば、調理実習で
http://ikedaosamu.cocolog-nifty.com/…/…/ibooksstore-783.html

これはまあ、やればできること。
だけど、本丸は店だ。大学の教員をやりながら店を持つことはできないかと考えないこともなかった。
しかし、現実的ではない。
体が足りない。一日や二日ならなんとかなるが、ずーっと店を持つってのは現実的ではない。公務員ではないから兼業届けを出せば大丈夫だとは思うが、現実的ではない。そもそもそんな資金はない。

だけど、店を持ちたいなあとは思うのだ。
(どこか古い家でも借りて、キッチンスタジオだけきちんと拵えて、学生たちがゼミ合宿をしている間、私が料理を作って、できたら食わせる。時には、研究会をやる。教育オーベルジュとかできないかなあ)
とずっと思ってはいた。

いや、一回はやっている。プレなんだけどね。
http://ikedaosamu.cocolog-nifty.com/…/2016/02/post-bd3e.html

そして、恐れ多くもその店が祇園で叶うことになったんだから、驚き以外の何物でもない。
ありがたいことだ。

ただ、文章を書いてみて思ったけど、計画的にやっていたわけではないけど、やっていたんだなあと思いました。
そして、それを外側から見ると、店でやるってことは、今までやってきたことの延長線上にあるように見えますね。

これを計画的に、着実に行えるならカッコいいんだけど、私の場合はそういうのではないので、とにかくやりたいなあでやり続けてきた結果、偶然と幸運に恵まれて、今回の" 料理と酒の店 祇園 酔睡亭 ”に繋がったんだなあと思った次第です。

続く

2017/04/30

酔睡亭開店へ その3

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カフェを出て(ええ、まだ、前回と同じ日付です)、実際の祇園のお店の場所を見に行くことにした。

やることが決まったのだが、いつやるのか、どうやるのかを考えながら、歩いて行った。
道を数本過って行くと
「ここです」
と到着。

ちょっと、待て。
確かに祇園だが、超、一等地ではないですか。
なんてたって、祇園の花見小路、白川沿い、そして、あの有名な吉井勇の歌碑が見えるところです。

かにかくに 祇園はこひし 寐るときも 枕の下を 水のながるる

これですね。もう、信じられない。

この小路は、私が学生時代に初めて関西に旅行に来た時に、来た場所でもあります。多分、30年ぶりです。そう大学の4年生の時だったから23歳の頃だったと思います。この花見小路の一番縄手通側にある店に入ったのを覚えています。その当時はおでん屋さんだったと思うけど、今でも店はありました。そんな私にとっては思い出の土地で、店を出せるかもしれない。
現実感がなくなっていきます。

で、店の中に入りました。
(ひ、広い)
本格的な料亭があった場所らしく、厨房もカウンターも立派。
二階にも上ってみることにしました。

ウヒャア。
とっても広い。メインの広間は、テーブルの着座でも40人ぐらいは大丈夫そう。
さらに小上がりや客間なども入れるとかなりのお客さんでも大丈夫。

「実は、店のオープンは四月の末なのですが、満開の桜の時期にまだ店を開いていないことになります。ここからの景色が全く活用されないんです。勿体無くてね」

と。
うーん、こうなったら妄想のその2だ。

『あのー、実は、私のゼミは四月の花見から始めるんですが』
「あ、いいですね。花見で使ってください」
『そんな風に使うのは、え? いいんですか?』
「いいじゃないですか。そんなふうに使ってもらったら、店にも勢いが出ます」
『え〜〜〜!』

ということで、ゼミの花見の場所が決定。実はもうすでに場所と日程は、私のゼミの宴会係が動き始めて今年は円山公園でやろうかといことになっていたのだが、変更をお願いした。

頭の中では、
(3、4回生ゼミで30人。明日の教室関係で10人。40人だなあ)
と人数を弾く。場所的には大丈夫。
問題は、私の体力と下準備が可能かどうか。
40人ったら、1クラスですよ。
その人数の飲み食いに対応できるだろうか?
いや、なんとかしましょう。
こんなチャンス二度とないかもしれない。

すると、
「うちのスタッフも入って、サポートできると思いますよ」
とのこと。ありがたい。厨房の飲み会のプロがサポートに入ってくれる。
これほどありがたいことはない。

その後、先斗町に出かけて行って、ランチを取る。
ゆったりとした流れ鴨川を見ながら、
(うーん。凄いことになった。面白くなるぞお)
と思いながら、イタリアンをワインで楽しんだのでありました。
続く

2017/04/29

酔睡亭開店へ その2

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1月20日に祇園のカフェでご主人とお会いして、あれこれお話を伺う。

奥さんである後輩から聞いていたのは、お店で
「面白いことをやりたい」
ということ。
そういうことなら、相談に乗れるかもしれないということで会ったのだ。

で、会ってみたらこれがびっくり。
お能をやっていたという共通項とともに、乗っていたバイクがYAMAHA SRXでもあった。
そんな共通項があるなんてのは、本当に珍しい。

そんなことから、これなら私の妄想というか、理想というか、夢とか、アイディアとかを語っても大丈夫かなあと思い話し始めました。そしてこれが、ビジネスモデルになるといいなあと思いながら。

私が提案したのは、「寝床」モデルなんです。
寝床とは、落語の演目です。
義太夫が好きだけど、下手な旦那。自分の義太夫を聞かせたいが為に、料理を用意して食べさせて聞かせる。それでも店子はやってこないので色々やって、というようなお話。
https://ja.wikipedia.org/wiki/寝床

『バレエ、ピアノ、書道、写真、剣道、水泳、サッカーに野球。習い事や趣味をやっている人は、それを発表する場所がありますよね。発表会、コンテスト、ステージ、展示会、試合などで見てもらって、応援してもらってという幸せな場所があります。しかし、ですね、料理だけはないんじゃないかと思うのです。

料理が趣味な人は、まあ、家で作って家族に食べさせるか、家に人を呼んで食べさせるか、ご近所に配るぐらいでしょうねえ。それができない人は、アウトドア料理で「俺の料理を食え!」ってな感じになるのでしょう。だけど、本当は店でやりたい。プロの厨房で作って、知人に振る舞いたいのです。ところがそういう場所がない。

私なんて、ニンニクや唐辛子を使う料理なので、家では娘に辛いと言われ、奥さんにはニンニクはあまり好きではないと言われて食べてもらえない(^^)。年に一回琵琶湖花火大会の時には、学生たちを呼んで自分の料理を振る舞えますが、本当はもっとやりたいし、自宅ではなくて店でやりたいんですねえ。そういうのが叶う店をやりませんか? この方式だと、お店は基本的に箱を貸してくださればいいことになります。』

と妄想を話したのでありました。
すると、

「面白いです。それ、面白いです」

と話が肯定されたのでありました。

「そのスタイルだと、コックさんがお客さんを連れてきてくれますね。ブライダルのモデルでもありますね」

結婚式場のビジネスは、新郎新婦が披露宴のお客さんを連れてきてくれるので、店がお客を呼び込む必要のない飲食店のモデルとして考えられています。

『はい、そうだと思います。成熟の時代に自分の趣味をもっと楽しみたい人はいると思います。しかし、料理に関してはそれを発表する場所がない。だから、クックパッドがあんなに流行っているのではないかと思うのです。レシピと写真を褒めてもらえますし、実際に作ったレポートももらえます。キャラ弁だって同じ流れだと思います。見てもらって褒めて欲しい。反応がもらえるのが嬉しい。

しかし、実際は実物をだと思うのです。作ったものを食べて欲しい。写真を撮って欲しい。美味しいという声を聞きたいだと思うのです。

料理は、日常でありながら、レストランとなるといきなり敷居が高くなります。これは、火元責任者と食品管理衛生者のハードルが高いのと、食材の買い付け、管理、原価計算などが出てくるからだと思うのです。だけど、やりたい。自分の好きな食材を使って、お気に入りのお酒を用意して、友人に振る舞いたい。本物の店で作って振る舞う店が欲しいなあと思うんです』

「面白いですねえ。食材は店を通じて買い付ければいいものが安く入るでしょう。コックさんは、どうしても自分で使いたい食材やお酒を用意してもらって、あとは店の方でできますね。それに、コックさんが作りたくても作れないものがあったら、店のスタッフの方で作ったりとかもできるでしょうし、下ごしらえなんかも大丈夫でしょう」

『それはすごい! 食器の破損やゴミ出しとか超えなけれならないハードルもたくさんあると思うのですが、大丈夫でしょうか?』
「問題ないと思いますよ」

もう、興奮興奮。
本当に、本当なのだろうか?
後輩に新年会で会ってから15日後、開店まで78日の日のできごとである。

続く

酔睡亭開店へ その1

2017/4/10

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エイプリルフールかと思われた方がほとんどだと思うのですが、4月8日に、本当に店を出しました。とりあえず、一日限定ですが出しました。祇園の花見小路です。店の名前は、"酔睡亭"です。これは私がずっと使っている雅号ですが、今回、店の名前にしました。看板や暖簾も作りました。

まあ、なんと申しましょうか、人間、妄想が必要なんだとつくづく思っております。妄想は、本人にとっては妄想であっても、聴く人によっては理想であったり、夢であったり、アイディアであったり、ビジネスモデルであったりするわけです。

今回、私の妄想は、一つのビジネスモデルになりました。

なんで祇園で店を出すということが実現したのかの、そもそものことを書きましょう。

今年の正月に大学院の新年会がありました。大熊先生の大学院ゼミを中心とした新年会です。1月5日のことでした。

そこで、たまたま隣の席に座った後輩と近況を報告していました。彼女は、三週間前に二人目の子供を産んだと言っていました。ストレートマスターだった彼女は私よりずいぶん年下です。元気だなあとか思いながら、私は

『いやあ、料理ばっかり作っているよ』

とか言いながら、Facebookにあげてある写真を見せて自慢していました(^^)。

『料理の本も書いているんだよ』
「え〜〜〜、見せてください」

と言われたので、見せました。

https://itunes.apple.com/…/5fen-5suteppudehaj…/id1043474676…

「先生、すごいです! 主人の会社が京都の祇園に店を出すんですけど、相談にのっていただけませんか?」
『は?』
「イタリアンの予定なんです」
『は? いや、待て。私、単なる素人だよ。そんな相談になんて乗れないよ』
「いえ、これを見るともうプロです」
『いや、素人。それに、京都滋賀ってイタリアンは300店舗ぐらいあるから、相当な激戦になるよ』
「でも、会ってください」

というので、まあ、一回ぐらい会って色々とお話を聞くのも楽しいかなあと思ってお会いすることに。
これがそもそものスタートでした。

続く

2016/12/05

もう一度言う

ニシンの白子が手に入った。

ニシンは、今が旬。

北海道の小樽に向かう列車の進行方向右側のオホーツク海では、フケが発生していることだろう。

私は、スーパーに並んでいたニシンを手にいれて、身をグリルで食べようと思ったのだ。で、出てきたお宝が白子であった。

プリン体満載の、この白子。

私にとっては敵である。

敵は撃破するか、友好条約を結ぶかである。

私は、後者を選んだ。

で、調理。

日本酒に漬けて洗って、白子の臭みを取る。

そのあとは、バターでソテー。

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もう一腹は、素焼きをしてポン酢、一味、山椒でいただく。

どちらも実に美味しい。

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もう一度言う。

どちらも実に美味しい。

2016/09/30

イワシのコンフィ

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今日は嬉しいことが重なったので、お祝い。

イワシのコンフィ。
実に簡単。それでいて美味しい。
作ってください。柔らかくて美味しい。

材料をビニール袋に入れて、沸騰したお湯に漬けたら火を止めて、放置すれば出来上がり。

1)開いたイワシを用意する。できれば骨も取っておく。片面に軽く塩をする。5分ぐらいはそのままにしておく。
2)ビニール袋に、ニンニク一片の千切り、唐辛子一本を入れてイワシを入れる。
3)イワシが隠れるぐらいの量のオリーブオイルをビニール袋に入れて、ビニール袋を空気を抜きながら、縛る。
4)沸騰したお湯に3)を入れて、火を止める。そのままお湯が冷めるのを待つ。
5)お好きな香草(写真はセロリの葉っぱ)を乗せて、いただく。

うまー!

2016/06/24

オリジナルスパゲティ  甘鯛のスイートバジルオイルフルーツスパゲティ

Img_7289 レシピです。よかったら作ってください。写真は甘鯛ですが、鯛でも白身の魚でもいけます。
甘鯛の焼き方と、ニンニク、スイートバジルの火の通し方が決め手です。


1)甘鯛の両面に塩をする。正確には、鯛の重さの、0.08%の分量を振る。人間の体内の塩分と同じ濃度が一番美味しいと言われている。

2)5分以上待つ。塩は、水分に溶けるので、鯛の水分になじませる。

3)フライパンを冷たいまま、ガスコンロに乗せてオリーブオイルを大さじ3程度入れる。

4)甘鯛の皮目を下にして置く。

5)ガスコンロの火をつける。その際、炎の先端はフライパンとコンロの中間ぐらいになるようにすること。

6)1分程度すると、フライパンから音がしてくる。フライ返しで鯛を押し付けて、反ってくるのを防ぐ。

7)時々揺すりながら、火が通っていくのを待つ。だいたい5分程度。

8)甘鯛の厚みの1/3程度が白くなったら火を止めて、甘鯛をひっくり返す。余熱で加熱する。

9)甘鯛を取り出して、別の皿に乗せておく。アルミで包んでおくと冷めにくい。

10)フライパンに残っているオリーブオイルに、ニンニクのスライスしたもの2〜3片と、スイートバジル5〜6枚を投入して、和える。

11)スイートバジルの葉がしんなりしたら、茹で上がったスパゲティを投入して、オイル、ニンニク、スイートバジルと絡める。様子を見て、ゆで汁を少し入れてかき混ぜ、オイルを乳化する。

12)スパゲティを皿に盛り付け、甘鯛、柑橘系のフルーツを乗せる。写真は、天草晩柑。

13)軽く胡椒を振る。

14)熱々をいただく。

15)うまー!と叫ぶ。 ◆ 夏のランチに白ワインで楽しむといいと思います(^^)。



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